砂浜の瓶詰め

砂浜を瓶に詰めて、小さな海を作りたい。ハワイの有益な情報はほとんどありません。

コカイン・ベアー愛すべきモフモフのB級映画

クマをかわいいというのは、大きな誤りである。

少し前に、日本ではクマによる獣害が多くなっていると報道されていた。リラックマや熊のプーさんのイメージとはかけ離れている現実のクマは、その鋭利な爪と強靭な肉体をして人間に大きなダメージを与えうる。動物園に行ったことのある方はご存知だと思うが、強烈な獣臭もする。なぜ、あんなに「カワイイ動物の代表です」のような扱いをされているのか分からない。映画に出てくるクマもまた、TEDやパディントンのようにカワイイのである。数あるアニマルパニック映画でも、クマが出てくるのは『ブラックフット』や『グリズリー・レイジ』あたりだろうか。擦られまくっているサメやらヘビやらに比べると、そう多くはない。

そんなクマを題材にしたアニマルパニック映画の最新作、それもタイトルからしてもB級の匂いがプンプンする『コカイン・ベア』を見てみた。一応ホラー映画にカテゴライズされるらしい。余談になるが、私の一番好きな映画のジャンルはB級ホラー、ホラーコメディ、次いでホラーなので、この作品は私の専門(?)といえよう。

cocainebear.jp

タイトルの通り、要はコカインでキマってしまったクマさんが殺戮劇を繰り広げていくのである。クマさんだけではないのだが、まあそこそこに血飛沫スプラッタではある。ストーリー展開はある程度予想の通り。ドラッグディーラーとそれを追う刑事、思春期ティーンズにエモぶった奴らまで出てきてしっちゃかめっちゃか。コカインとクマさんの周りでは3つ4つの話が同時進行で進んでいくが、B級なので伏線の回収はあるわけもなく、いい感じの投げっぱなしである。それ必要?というどんでん返しもあるが、キメキメクマさんの前ではどうでもよくなってしまう。

ちなみにこれは実話に基づいているらしく、実際はコカインを過剰摂取してしまったクマは残念ながら死んでしまったらしい。今作ではその仲間の怨念を晴らすべく、なのかどうなのか知らないけれど、キメにキメて人間を襲ってくる。その姿はもはや爽快。クマさんによってパニックになった人間どもの慌てっぷりと自滅っぷりをコミカルに描ききっているのには、拍手を送りたい。

この作品を通して何を伝えたいのかーということが全く見えてこないのがB級ホラーの醍醐味だと思っているが、強いていうならば親子がテーマである。人間でも動物でも、親子の絆はあるのだということ、そして下手すると動物の方が絆が深いのではないかと思わされる仕上がりであった。あと、やっぱりドラッグはダメ。コカインがとてもライトに描かれているので、サクサク進んでしまうのだけれど、クマさん以外がとても自然にドラッグを摂取しちゃうシーンはちょっと自分の倫理観がNOと言っていた。もしかしたら、それがアメリカの日常なのかもしれないけれど。もしそうだとしたら、コカインでキマったクマよりも、そっちの方が怖いなと思うのだった。

 

子供:死なない

動物:死なない

グロ:ややグロ

セックス:なし