砂浜の瓶詰め

砂浜を瓶に詰めて、小さな海を作りたい。ハワイの有益な情報はほとんどありません。

朝はねじれて

体の歪みが甚だしい。らしい。

椎間板ヘルニアをやって、救急車で運ばれてから一年半が過ぎた。腰痛はもはやパートナー的存在になりつつある。毎日痛いわけではないのだが、変な寝方をしたとか、変な座り方をしたとか、体重がちょっと増えたとか、寒い日が続いたとか、そんなちょっとしたことでかまってちゃんを発揮する厄介なパートナーである。特に、私はうつ伏せに寝て、片足を直角に曲げ、もう片方の足をまっすぐ伸ばすというヘンテコな寝方をするので、朝起きると背中から腰にかけてが固まって動かないこともままある。通っているカイロプラクティックの先生によると、そのせいで背骨が捻れているのだそう。ひどい肩こり首こり頭痛も、左首ー右肩ー左腰が悪いらしく、とにかくストレッチと仰向け寝をしてくれと言われている。ストレッチは自分でできるものだが、寝方はそうはいかない。誰かが私をベイビーモニターででも見ていて、寝返りを打つたびにひっくり返してくれるのならば話は別だが、そうはいかない。カイロの先生には、代わりに枕や抱き枕で自分の周りを固めるといいと言われてしまった。

昔コラムにも書いたので、マニアの方(いるのだろうか。いたらご一報いただきたい)はご存知だと思うが、130センチのアヒルのぬいぐるみを持っている。かつて抱き枕がわりにと買ったものなのだが、実は奴は養子に行ってしまった。ある日、我が家を訪れた甥がいたく気に入り、そのまま彼のアヒルとなったのである。子供のことなので、飽きているなら返してもらおうかと思ったのだが、驚くことにダッキーと呼ばれるそのアヒルは今も彼の夜伽をしているらしい。そうなれば4歳児からアヒルを取り返すような蛮行には及べないのである。

最近はハワイも冷え込んでいる。20度台前半の日が続き、雨風も結構強い。その気圧の変化のせいもあろうか、非常に腰が痛む。なるべく暖かい格好をして、ストレッチもより入念に、そして悪化しないようにタイガーバームや偽物のサロンパスみたいな湿布も貼っているものの、やはり腰の痛みが強くなってきている。寒さのせいでより姿勢が悪くなっていることも関係するのだろうか。雨の日に膝が痛むと言っていた、実家の近所のおばちゃんの気持ちが今更ながら理解できた。

その近所のおばちゃんは、そうなるとすぐさま病院に行っていたような気がするが、ここはアメリカ。そうはいかないのである。一年半前、腰痛で動けなくなり救急車で運ばれた日。腰から下に力が入らず、あまりの痛みに嘔吐しているにも関わらず、何の治療も検査もされず、オピオイドの痛み止めだけ出されて返された日。アメリカの医療の洗礼を受けた日であった。そして今度は心臓が悪くなるほどの請求が来た日。腰の痛みを覚えるたびに思い出されるあの日々のことを忘れてはならぬ、と再度心に誓うのである。あの日のことを思えば、日々のストレッチが何であろうか。寝相を良くするのなど屁でもない。そのためにはやはりダッキー奪還が必要な気もする。来たるクリスマスには、新たなダッキーを甥にプレゼントし、旧ダッキーを再びこの手に。腰痛との戦いはまだまだ続くのである。